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わかる世界史授業術
略地図の書き方を収録


  
世界史授業シナリオ 
 ――黒板を大劇場に変身させるMPメソッド――
 
パワポやプリントでは味気ない。黒板にいのちを吹き込むMPメソッドを初めて紹介する本。生徒と対話しながらペープサートのようにマグネット・プレートを自在に操るダイナミックな世界史授業。各国の動きがよくわかり、略地図も書けるようになったと好評。                   
著者=関根秋雄
体裁=A5・304ページ
本体価格=2,500円
発行日=2012年3月15日
ISBN=978-4-88527-204-2
在庫=あり
   
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目次

はじめに
⓪Ⅰ わかる世界史授業術
  -MP法のススメ
⓪Ⅱ 略地図のススメと書き方
①ローマは一日にしてならず
  -共和政ローマ
②東南アジアの多様な歴史と文化
  -アンコール-ワットの輝き
③始皇帝と万里の長城
④漢の武帝と張騫の遠征
⑤華開く都・長安
  -唐の繁栄と東アジア世界の成立
⑥皇帝と庶民の時代
  -五代・宋
⑦イスラーム世界の成立と発展
⑧西ヨーロッパ世界の成立
  -フランク王国とローマ-カトリック
⑨世界史を変えたモンゴル帝国
⑩大航海時代以前にあった壮大な交流ドラマ
  -13~15世紀 海のネットワーク
⑪中華帝国・明の内外政策
⑫産業革命は真の幸福をもたらしたのか?
⑬アメリカ合衆国の成立
⑭ウィーン体制と自由主義の闘い
⑮東方問題とロシアの改革
⑯ドイツの統一は如何にしてなったか?
⑰西アジアの変動と西欧列強の進出
⑱東南アジアの植民地化と民族運動
⑲侵略と革命に揺れた近代中国
⑳人類が経験した初めての世界戦争
  -第一次世界大戦
㉑世界恐慌はなぜ起こったのか?
㉒ファシズムの台頭と戦争への道
㉓アジア・太平洋戦争と日本の東南アジア侵略
㉔戦後のスタートと二大陣営の対立
㉕アジア・アフリカの独立と解放
                  
  MPメソッドってなんだ(本書より抜粋)

MP(=マグネット・プレート)とは、画用紙などを適当なサイズにカットし、表面にマジック・インキで人名や国名などを書き、裏面に磁石を貼ったもののことである。このプレートを用いた授業方法をMPメソッドと呼んでいる。
このMP法のヒントになったものは、小学校の先生が子どもたちに分かり易く教えるために画用紙を切り抜いて書いた絵や文字で授業をすることであった。
MP法を実践してきて、多くの特長が明らかとなった。
①手軽さ : 事前に使用するMPを作っておけば、何度でも繰り返し使用でき、板目紙や画用紙などを材料とするので、持ち運びも容易である。
②創意工夫の容易さ : 素材が板目紙や画用紙を使用するので、アイデア次第でカラフルなMPや、様々な形のMPを授業内容に応じて、自分の好みで作ることができる。ICT機器による授業では得られない“手作り感”が生まれ、人間教育の観点からも大切にしたい点である。
③重要語句の意識化 : MPにすることによって、黒板にその都度書く必要がなく、しかも、生徒はMPにすることによって、あるいはMPをチョークで囲むことによって、重要なものと意識する。
④繰り返しの使用 : 一例をあげれば、国別のMPは全時代を通じて、様々なテーマで使える。このことは、近現代史の授業ではその効果は絶大である。
⑤ダイナミック(動的)な使い方 : 「わかる授業」の決め手の1つが「ダイナミックな授業」がいかにできるかにかかってくる。その点、MP法では、MPを自由に動かしたり、取り外したり、MPをグルッと回転させたりと、MPの動きに注目させることによって、生徒を授業に引き付けることができる。
⑥復習に役立つ : 毎回の授業では、前回の復習から始める場合が多い。その際、前回のことや、過去に学習した事柄を、再び黒板に板書するのは、手間がかかるが、MP法では、MPを貼るだけで済む。また、工夫次第では生徒への発問の答えとしてMPを黒板に貼るといったこともできる。
⑦板書の省エネ : 頻出度の高い語句を何度も書いたり消したりするのは、意外と時間のかかるもの。授業時間や説明時間を確保するという点からもMP法は有効である。
以上、筆者の経験に基づいて、書き連ねてみたが、MP法による授業術は実はMPだけでできるものではない。このMP法を授業の中で効果的に行うには、MP法を補完するものが必要である。仏像の三尊形式に喩えるなら、本尊がMPなら、その両脇侍にあたるのが「略地図法」と「問答法」(コミュニケーション)である。これらが一体となって、初めて、MP法の効果がでるものと思う。
世界史の授業に地図は欠かせない。多くの場合、資料集に掲載されている歴史地図を使うのが一般的であろう。たまに黒板に書くにしても、あくまで説明の都合上書く場合がほとんどである。しかし、MP法を最大限に活かすにはその土台となる略地図が不可欠であり、生徒自身にも略地図を書かせるところから、正確かつ特徴を捉えた略地図を書くことが重要である。
そして、もう1つの要素が「問答法」である。すなわち、それはコミュニケーションを大事にしながら、MP法を活用して授業を進めることである。とにかく、コミュニケーションを通じて、お互いを理解し合うことで授業に一体感を作り出すことが必要である。どんな簡単な質問でもいい、一人の生徒に質問をすると、かならずクラスに一人や二人、答えようとする生徒がいる。こうした生徒を素早く把握し、積極的にそうした生徒を活かしていくと、周りの生徒もその生徒に引きずられるように発言をする。やがて、参加する生徒の数も増えてくれば教室全体に広がり、一体感のもてる授業へと変身する。生徒参加型の授業の実現である。こうなると、MP法を活用した問答法はますます効果を発揮することは間違いない。
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