|
世界を巡る30テーマ 世界地図の書き方を収録 |
地図を書いて学ぶ世界史 ――世界地図を5秒で書いて考える―― 5秒で書ける世界地図を活用して授業を変える! 生徒が自ら書いた世界地図のうえに歴史的事象を展開させる作業を行うことによって、ダイナミックな歴史的思考と対話が生まれる画期的な世界史授業。 千葉県歴史教育者協議会世界部会=編 |
|||
■ネット書店 ≫Amazon ≫e-hon ≫紀伊国屋書店 ≫ジュンク堂書店 ≫セブンネット ≫楽天ブックス ≫TSUTAYA ≫honto |
■目次 【略地図の書き方】
①5秒で書ける世界地図とは?
~地図から世界史を考える~
〔ポイント解説〕超簡単・世界地図板書法 〔ポイント解説〕誰でもできる世界地図の書き方指導
②高校生が描く「頭の中の世界地図」
~「一筆書き世界地図」で進歩をたしかめる~
【世界史の扉】 ⓪ジョン・万次郎の大冒険
~世界1周を2度おこなった万次郎の夢とは~
【諸地域世界の形成、交流と再編】
①農耕民を圧倒せよ!
~遊牧国家の誕生とユーラシア~
②世界の「中心の華」中国 ~冊封体制で秩序づけられた東アジア世界~
③玄奘のみたインドとは何か? ~『大唐西域記』に記した多様で開かれたインド~
④仏教栄える南の島国 ~古代東南アジア海域世界~
⑤増えるムスリム・ムスリマ ~イスラーム世界の拡大~
⑥マルコ17歳の旅 ~13世紀ユーラシア大陸の安定~
⑦イブン=バットゥータからの贈り物 ~14世紀に50か国を巡った旅~
⑧宝船がやってきた ~明の鄭和の大航海~
【諸地域世界の結合と変容】 ⑨マゼランは世界になにを残したか
~「国民国家」形成と「グローバル・ヒストリー」のはじまり~
⑩トイレはどこだ? ~奴隷貿易がもたらしたもの~
⑪キャプテン=キッドの数奇な運命 ~海賊とヨーロッパの植民地政策~
⑫スコッチ・アイリッシュがもたらしたもの ~大西洋を渡った長老派~
⑬革命は海を越えて ~ハイチ革命~
⑭クックの航海 ~なぜヨーロッパは世界を植民地化することができたのか~
⑮アイルランドを知ろう ~支配と苦難を乗り越えた人々~
⑯「世界の工場」イギリスの誕生とは? ~世界の一体化でとらえる「産業革命」~
⑰汽走軍艦に乗って来たペリー ~蒸気船の時代~
【地球世界の到来】 ⑱敵の敵は味方、友達の友達はみな友達!
~帝国主義列強の同盟関係の変化~
⑲資本輸出・世界分割と立ち上がる人々 ~帝国主義と民族運動~
⑳アメリカはこの先に…! ~太平洋を渡った南房総のあわびダイバーたち~
㉑世界はロシア革命をどう迎えたか ~列強の対ソヴィエト=ロシア干渉と社会主義~
㉒チエホフ、クリスティ、魯迅とその妻 ~日本の大陸侵攻をめぐって~
㉓「楽園」を地獄に変えた支配者たち ~グアム島から見た近現代史~
㉔空からの虐殺 ~「空爆」の思想・無差別爆撃はなぜ行われたか~
㉕新アジアと新アフリカの誕生 ~1955年バンドン会議~
㉖今ふりかえるベトナム戦争 ~戦後世界を揺るがした最も熱い戦争~
㉗イラク戦争―「人間の盾」運動 ~自らを教材化する授業~
|
■本書「まえがき」より 高校世界史の授業をおこなう上で痛感することの一つに、生徒の地理的知識・把握の欠如がある。その原因が不十分な中学地理の学習内容にあるとの指摘もあるが、そもそも子どもたちが日常、世界地図を見るという経験、習慣がほとんどないためだと思われる。 授業で扱う歴史的事象が世界のどこで起きたことなのかが分からなければ、基本的な授業展開さえ望みにくい。教科書や資料集などにはふんだんに歴史地図が掲載されているが、教師側がそれを指示するだけでは、生徒は受け身になってしまう。また特定の地域に限定された地図がほとんどのため、全体世界からの把握が難しい。最近は「~世紀の世界」とのページをとって、世界地図全体から理解できるように配慮している資料集もみられるが、地図上に多くの情報を盛り込み過ぎのように思われる。 そこで生徒が簡単に書ける、ある程度正確な略地図を工夫すれば、生徒が自ら書いた世界地図のうえに歴史的事象を展開させる作業をおこなうことによって、自らイメージした世界空間のたしかな歴史的展開をとらえることが出来ると考え、世界部会として実践を積み重ね、このたびその成果を本書にまとめることができた。 本書は単に「略地図」に歴史的事象をどう落とし込むかを提示しているのではなく、生徒自身の「世界地図」に展開させることを通して、生徒に考えさせたいこと、そして深めさせたいことを提言することをねらいとしている。めざすものは生徒が自ら世界空間における歴史的展開を表現しながら考える世界史の授業である。 5秒で書ける世界地図は、誰でも簡単に書けるものである(本書j参照)。白地図をプリントして書かせることも一般的な方法だが、略地図は、いかなる時でも場所でも、自分で書けるということが最大の利点である。 略地図に書き込む情報も一見単純なものである。本書を見ると、たったこれだけかと思われる図が出てくる。しかし生徒にしてみれば、その情報を自分の地図にとりいれることは大変なことなのである。確かめられた最低限必要な地図上のデータを出発点にして、教師と生徒の授業の営みのなかで世界史を考え、世界史認識を深めていきたいと思う。 5秒で書ける世界地図だからこそ、教師も生徒も容易に取り組むことができ、毎時間世界地図を書いて、書き慣れることよって、自然に世界空間が頭に浮かぶようになる。また地図の欠点である時系列の把握も、略地図であれば幾つも書けるので、時系列で変化を把握することも容易である。 本書に収録した30のテーマは部会のなかで実践・検討を経たものである。冒頭でテーマのねらいを示し、以下実際の授業にそって1時間から2時間で展開するようにまとめた。そのなかに「Q」とあるのはテーマについて生徒に考えさせたい発問である。正解があるものや、ないものもある。むしろ自由に生徒に意見を述べてもらいたいような発問を工夫した。また「作業」は、略地図を書く指示で、略地図を二つ用意した。終段にこのテーマで考えてもらいたいことを短くまとめ、参考文献を付した。 本書が扱っている世界史のテーマと内容は世界史に関心のある一般の方々にも面白く読んでいただけるものと思う。生徒の世界地図に展開する世界史を多くの方々に楽しんでもらえたらこれに過ぎる喜びはありません。 |